拙い文章を花束と共に

美勇伝はてなv-u-den企画 美勇伝結成一周年に寄せて――。
 入道雲もモクモクと伸び上がり、蝉のヌケガラも当たり前のように見かける、暑い夏――。照りつける太陽を味方につけた子供のように、オーバーなリアクションで「YOKOSO! この季節!」とあまり歓迎できる年齢ではなくなりましたが、涼しげな風鈴の音を聞き、立ち昇る蚊取り線香の匂いを感じながら、道行く子供たちのプールで日焼けした小麦色の肌を見るにつけ、「あぁ、また夏が来たかぁ」と扇風機を「強」にする・・・。
 ”2004年9月23日(木・祝)にハロプロの新ユニット“美勇伝(読み:びゆうでん)”が シングル「恋のヌケガラ」でデビューします!メンバーは石川梨華(モーニング娘。)、三好絵梨香(新メンバー)、岡田唯(新メンバー)の3人。 ” 美勇伝結成の一報が入ったのが、今のような暑い盛り、去年の8月10日でした。今日でもう一年になるんですね。正直に言って、梨華ちゃんが娘。を卒業してからというもの、(ハロプロ全体を通して)その接点は減る一方で、これまでまともに美勇伝に対して何かを発したことはなかったのですが、今日はいい機会ですので、その少ない接点の中でもチロッと気になったトピックを2つほど。
 ひとつはB.B.L.#8(2005/05/23)でのひとコマ。界隈では三好ちゃんの「岡パイ」発言(厳密には言いかけた)が話題になった回ですが(笑)。そこに至る前部分で、梨華ちゃんがメンバーに対して「梨華ちゃんって呼んでほしい」というくだりがありました。梨華ちゃんは二人が敬語を使った自分に話すことに距離を感じているので気軽に呼び合いたい、と。その発言に対して、 三好:「梨華ちゃんって呼んでいいんですか?でもなんか申し訳ない・・・。先輩だし・・・。」 岡田:「え、それは私もですか?」と完全に困惑気味。唯ちゃんは年下ですしオーディションに合格してから日も浅いからともかくとして、同い年の三好ちゃんですらだいぶ恐れ入っている様子。テレビの中の遠い人だった、もしくは自分もああなりたいと思っている憧れの人だったのに、いきなりそれは馴れ馴れしいだろうと。
 今までしっかりと実績を挙げてきた先輩に引っ張られるカタチで始まった美勇伝。必然的に梨華ちゃんがリーダーシップを取り、それに尊敬と羨望の眼差しで見つめる三好ちゃんと唯ちゃんの構図ができることは想像に難くありません。そんななかでその空気をしっかり読み取ってあえて「梨華ちゃんと呼んで」という梨華ちゃん。そしてそう言われてもやはり今はまだ一線は越えられないと思っている二人。このやり取りを聴いていて自分は、「あぁ、この感覚があればこれか何があっても大丈夫なんじゃないか」と思いました。梨華ちゃんに対しても、三好ちゃん・唯ちゃんに対しても。確かにこの距離は次第に短くなると思います、梨華ちゃん自身がそうだったと語っているように。でも、なくなりはしません。それは梨華ちゃんが今でも先輩メンバーにはしっかりと距離を保っているように(親しさとは別の意味で)。親しき仲にもなんとやら・・・。ちょっとした安心感と共に、嬉しくなったひとコマでした(まぁ、このあと驚愕の発言が待ってる訳ですが)。
 もうひとつは、美勇伝結成発表からデビュー後、今に至るまで梨華ちゃんが雑誌のインタビューなどに対して「この3人ならやっていける」と事あるごとに発していたこと。自分のイメージだけかもしれませんが、雑誌を立ち読みするなどして記事に目を通していると、そういった内容が各所に見受けられていた気がします。当時の梨華ちゃんにしてみれば、勝手知ったる、ある意味居心地の良かったモーニング娘。を抜け出して、どんな子かも分からない女の子二人と突然ユニットを結成して、卒業後をやっていくことになったわけです。それを考えると「んなわけねーだろ。運命の出会いでもあるまいし・・・」と思っていたんです。でも、本当は正しいんですよね、「やっていけるという想い」ではなく、「やっていけると口にする姿勢」が。別にやっていけないと否定しているわけではなく、やっていけると口にすることで、本当にやっていけるようになるんです。つまり娘。デビュー時から口にしていた「ポジティブ!!」と同じなわけです、これまでの梨華ちゃんでいうところの。そして事実彼女は多くのことを口にすることでその全てを実現してきた・・・。実際この三人はDVDパンフなんかを見ても、いいトライアングルを形成していると思います。
 ファーストソロツアーが終了し、早くも秋ツアーが決定。シングルリリースもコンスタントに刻んできています。その姿にひまわりのような爆発力はないかもしれませんが、今はまだそのときではありません。雨に打たれながらもひっそりと咲く紫陽花のように、今は着々とその足場を固めていって欲しいと思います。そしていつか、大勢のファンを魅了し、その心をひとりじめして貰いたいものです。